Oh!X 1993年12月号
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[16]. Oh!X1993年12月号特集「古今東西ゲーム議論」より「ゲームシナリオを分析するための手法」

今回は、Oh!X 1993年12月号特集「古今東西ゲーム議論」から、ゲームシナリオを読む ゲームシナリオを分析するための手法という記事を読んでみます。

ゲーム(に限らないけど)のシナリオにおいて、押さえておくべきポイントが、3つの項目に分けられて書かれています(4つ目の項目はまとめ)。

各項目について、順次読んでいきます。

P.49

1 序盤・中盤・終盤

最初の項目は、序盤、中盤、終盤という構成について。いわゆる、起承転結ですね。文中では、宝魔ハンターライム 第1巻というゲームを具体例に挙げつつ、説明されます。

序盤

序盤は主にキャラクターやシチュエーションの紹介が行われる。「ライム1」では序盤部分のオープニングがそれにあたる。

序盤は、まずはプレイヤーを作品世界に引き込むための導入ですね。どういうキャラクターや世界が登場するのか、主人公は何を目的とするのか、といったことが示されます。

中盤

中盤は引っ張り,である。どんなシナリオでも,この中盤は主に「〇〇したいのにできない」,つまり葛藤という状況が描かれることが多い。

「ライム1」においては,散らばった宝玉,あとに宝玉が妖怪化してできた「宝魔ろうそくん」を捕まえたいのに捕まらない,という状況が描かれている。

中盤は、目的を達成したいのにそれが阻まれる、ということですね。

この中盤においては、ターニングポイントが重要である旨が書かれています。

中盤の前半部分で謎がばらまかれ、ターニングポイントで何らかの事件が起こり、それによって中盤の後半部分では、エンディングに向けて謎が回収されていきます。

「ライム」でいえば,ろうそくんのために街の人たちが蝋漬けにされてしまうのをライムたちが見つける箇所がそのターニングポイントにあたると考えていいだろう。

展開がガラッと変わるようなきっかけが与えられることで、物語が動き出し、面白くなります。

終盤

終盤はもちろん,結末へ向けてのラストスパートである。「ライム」ではライムたちがおびきよせて捕まえたところから始まって,事件の解決までがそれにあたる。

シナリオを見ていく時は、序盤から中盤に変わる出来事、ターニングポイント、中盤から終盤に変わる出来事を見極めることが大事、とのこと。

一般的な起承転結ではありますが、そういう視点で既存作品のシナリオを分析すると、構成が理解しやすくなりそうですね。

2 ストーリーを転がす

続きを聞きたい、先を見たいと思わせ続ける,つまりプレイヤーの興味を引っ張るような仕掛けによってストーリーを転がすことが,ゲームを楽しめるものにするために必要なのだ。

ストーリーでプレイヤーの興味を引っ張るやり方には、2通りの方法がある、とあります。

  • シナリオ全体を一つの謎で引っ張る方法
  • 小さな謎を繋げて一つのストーリーにする方法

これは二者択一ではなく、バランスの問題です。ここでというのは、推理物の謎だけではなく、プレイヤーの興味を引くもの全て ― RPGでドラゴンに勝てるか、等 ― を「謎」と呼んでいます。「目的」や「動機」と言い換えてもいいと思います。

そして、この項目の具体例としては、琥珀色の遺言という作品が取り上げられています。

「琥珀色の遺言」は、貿易商・影谷恍太郎が殺害されるところから始まります。これは大きな謎として、ストーリーの最初から最後まで引っ張ります。

一方で、主人公が捜査を進めていく中、疑わしい人物が次々と現れ、解決するかな?と思わせながら、その疑わしい人物達がまた次々と殺害されてしまいます。この1つ1つが、小さな謎ですね。

このような「大きな一つの謎」と「小さな謎」は、はっきり分けられてしまうのはあまりいいシナリオとは言えず、バランスが大事、とのことです。

よく練られたシナリオというものは大きな謎,次々起こる謎をうまく組み合わせたものが多い。

3 友情は裏切られ修復される

しかし,本当にシナリオを面白くするためにその仕掛けだけにたよると,あまりに単純すぎてプレイヤーを完全に引っ張ることができないだろう。そこで,今日のゲームシナリオではストーリーに深みをもたせるために人間関係にもいろいろな謎,つまり不安定要因をちりばめることが多い。

この不安定要因というのは、簡単に言えば、「味方でもいつか裏切られたり別れたりする」ということを指すようです。それによって、安定した関係だけでは得られない緊張感が生まれ、物語のスパイスになる、ということですね。

文中では、エメラルドドラゴンという作品を例に説明されています。

まず,アトルシャンとタムリンは互いに違う世界の住人である。(中略)当然,その結末に待っているのは別れなのである。

結末に向けて別れを感じさせながらお話が進んでいく、というのは、確かにパターンとしてありますね。基本的に、たとえベタな展開であっても、ちゃんと丁寧に描くことができれば伝わるものです。

そう,彼の行く末に待っているのは手に宿る魔にその全身を乗っ取られるか,あるいは魔自身に敗者の定めとして消されるかという,どちらにしても待っているのは魔の裏切りのみなのである。

敵にも味方にも不安定要因を仕込むことで、この先どうなるんだろう、というプレイヤーの興味を引き続けるわけですね。やり過ぎるとくどくなっちゃいそうですが(インテリ系の人が作ったお話とか、「詰め込み過ぎ、もういいよ…」と言いたくなることも、あるかなぁ…))、適度な不安定要因は、面白さを生み出します。

4 シナリオはトラップである

シナリオとはゲームを組み立てるうえでの計算式,もしくはプレイヤーを楽しませるために付設した一連の仕掛けの位置を記した計画書である。

人の好みというものにはある程度一般性がある。(中略)できるのならパーフェクトに誰もがかかる位置にすべてのトラップを仕掛けるようなシナリオを書くことができれば,(中略)誰にでも最高にウケるゲームになるはずであり,それは実際可能なはずなのだ。

まあ、言うほど簡単ではないわけですけどね。それが100%できるのなら、失敗作は生まれないはずだし、ヒット作を狙い過ぎて逆につまんなくなる、ということも、よくあります。

言わば、面白い作品に共通する法則はあるけど、その法則に従ったからといって必ずしも面白い作品になるとは限らない、ということですね。

そんなに特別な話ではないかもしれませんが、既存の作品を研究する際には、上で見たようなことを念頭においておくと、分析しやすく、また新たな作品にも応用しやすくなることと思います。

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