マイコンで化学を学ぶ
0

[8]. マイコンで化学を学ぶ

今回は、マイコンで化学を学ぶ ― 手引きと実例 ―という本を取り上げます。

パソコンに化学の計算をさせてグラフを描かせる、という本です。

ここでいうマイコンは、パソコンのことです。パソコンという言葉が広まる前は、マイコンと呼ばれていました。

本について

発行は第1版第1刷、1984年7月2日。著者の犬塚功三氏は、東京電機大学の教授であった方とのことです。

プログラムの作成に使われているパソコンはAppleⅡ、プリンタはEPSONMP-80

AppleⅡのAppleというのは、今iPhoneやMacを出している、あのアップルです。

初代Appleは、組み立てキットの半完成品だったのですが、AppleⅡによって、ディスプレイという表示装置、キーボードという入力装置、ディスクドライブという記憶装置からなる、今のパソコンの原型が形作られました。

プログラムは、そんなAppleⅡBASICで書かれています。

プリンタのMP-80は、9ピンのドットインパクトプリンタで、個人向けのコンパクトなプリンタの走りだったようです。

連続一次反応のグラフ

p.2~3

漫然と読んでもよく分からないので、最初に載ってるプログラムだけ再現してみようと思います。

最初のプログラムは連続一次反応というものを取り上げています。

まずAという物質があり、Aが化学反応でBになり、Bがさらに化学反応でCになる、という反応です。

AからBへの反応は、Aの濃度が高いほどたくさん起こるので、AからBへの反応の起こりやすさにk1という係数を与えて、AからBへの反応速度(1秒あたりのBの生成量)をk1×(Aの濃度)と表します。

同じように、BからCへの反応速度をk2×(Bの濃度)と表します。

最初の時点では、Aだけが存在してBCも存在しないものとして、そこから各物質の濃度がどう変化するか、を計算してグラフにします。

本には方程式が載っていますが、よく分からないので結論の式だけ引用すると、次のようになります(Aの初期濃度を1と仮定)。

  • t秒後のAの濃度を求める式
  • t秒後のBの濃度を求める式
  • t秒後のCの濃度を求める式

そして、この式を元にグラフを描くプログラムを、移植してみました。

k1k2を与えて描画ボタンを押せば、グラフが描かれます。

HTML5のcanvas要素を扱える環境が必要です。

k1
k2

おわりに

やってること自体は、ただ数式をグラフで描いているだけですが、それが手軽にできるのも、コンピュータを個人で所有できるようになればこそ、です。

序文には、本書を執筆した動機はマイコンを化学の学習に使用したら、学生諸君には講義や教科書では明確でない点を明らかにすることができるし、さらに学生実験や卒業研究のデータ処理やレポートや論文の作製にも利用できることを知ってもらいたかったからですとあります。

まだパソコンが普及していない時代に、パソコンを使えば個人レベルで今までできなかったことがいろいろできるようになる、という、新たな可能性への熱意を感じます。

本の内容自体はまだまだ続いていくわけですが、またいつか、取り上げます。

タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です