アスキーラーニングシステム 入門MS-DOS
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[4]. アスキー・ラーニングシステム 入門MS-DOS

今回は、アスキー・ラーニングシステムシリーズの入門MS-DOS

帯にはMS-DOS Ver. 3.3完全対応とあります。3.3あたりが、MS-DOSとして一番広く使われた頃でしょうか。

そんなMS-DOSの、教科書と言える本です。

本について

発行日付を見ると、1984年7月7日初版発行、1989年12月21日第3版第1刷発行、1990年11月21日第3版第5刷発行、とあります。

全3巻の構成によれば、アスキー・ラーニングシステム MS-DOS編は、入門MS-DOS実用MS-DOS応用MS-DOSの3部から構成され、入門MS-DOSMS-DOS上の各種のビジネスソフトなどを利用とする人を対象に、MS-DOSの基本的な機能や操作法をやさしく、ていねいに解説しますとのこと。

実際、実習という形で手順がていねいに説明され、それに沿って手を動かしていけば、一通り使えるようになるものと思います。

本文中に出てくる例は、PC-9801のものが使われています。一応MS-DOS一般という形で書かれてはいますが、現実のシェアを考えれば、事実上の対象はPC-9801シリーズとなるでしょうね。

フロッピーディスク

この本の内容は、主にフロッピーディスクでの運用を想定して書かれています。

フロッピーディスクについては、その種類やフォーマットの仕方、システムディスクの作り方など、細かく丁寧に書いてあるのに、ハードディスクについては、「ハードディスクもあります」ぐらいの扱いで、具体的な記述はほとんど出てきません。

これは、日本ではハードディスクがあまり普及していなかった、という実情もあってのことだと思います。

続編の実用MS-DOSではハードディスクについて詳しく書かれているのですが、もしハードディスクが一般化していれば、入門編でももっと触れられていて然るべきものなので。

そのあたりの事情について、ちょっと考えてみます。

ハードディスクが普及していなかったことについて

フロッピーディスクの容量でも事足りた

実際のところ、当時のシステムのサイズであれば、フロッピーディスクでの運用も十分可能でした。

MS-DOSのシステムと、ワープロや表計算などのアプリケーションソフト、あとは幾つかのコマンドを入れるぐらいで、1枚のフロッピーディスクに十分収まります。

今のように複数のアプリケーションを同時に使うこともなく、基本的には一度に1つのアプリケーションだけを使うので、使いたいアプリケーションを入れたフロッピーディスクをディスクドライブに入れて起動すれば、そのまま作業できます。

データのサイズも、ワープロや表計算であれば大した大きさにはなりません。

アプリケーションとデータ1枚ずつのフロッピーディスクを2つのフロッピーディスクドライブに入れておけば、十分に仕事ができました。

ハードディスクの容量と価格

この当時広く使われていたSASIというハードディスクインターフェイスの場合、扱える最大の容量は40MBでした。

より大容量に対応した後継のSCSIも、出始めぐらいで、まだ広まってはいなかったと思われます。

なので、売られているハードディスクの容量も、だいたい40MBか20MBが一般的でした。

20MBとといえば、フロッピーディスク十数枚分。また、いつ壊れるか分からないので、バックアップはこまめにしておく必要があります。バックアップメディアは、やっぱりフロッピーディスク。

アクセス速度は圧倒的にハードディスクの方が速いのですが、ハードディスクでないと困る、というほどには、システムもデータも大きくはありませんでした。

そう考えると、あえて高額なハードディスクを導入することのメリットは、相対的に小さかったでしょうね。

ちなみに、1989年12月頃の雑誌に載っている広告だと、ハードディスクの値段は次のような感じでした。

・コンピュータ CRC-MH4 特価\70,000・スナイパー SR-520 特価\55,000、他

ここに載っているものの容量は、左側が40MB、右側が20MBのものです。

たとえば、コンピュータ CRC-MH4が40MB、7万円。

40MBハードディスク(ロジテック)\117,000、20MBハードディスク(ロジテック)\98,000、等

他の広告を見ると、20MBで98,000円、40MBで117,000円。

気軽に買える値段ではないですね。

ロジテックのハードディスクの歴史館を見ると、古いハードディスクの定価を見ることができます。

ちなみに、僕が初めてハードディスクを買ったのは1995年の初め頃、330MBで29,800円でした。

コピープロテクト

日本のゲームにはコピープロテクトがかかっていて、自由にバックアップを取ったり、ハードディスクにインストールしたりできませんでした。

そのために、「ハードディスクにインストールする」というスタイルが定着せず、ハードディスクの普及が遅れ、普及しないから値段が下がらない、下がらないから普及しない…ということになっていたと言います。

コマンド

MS-DOSのコマンドのかなりの部分は、現在のWindowsでもコマンドプロンプトから同じように使えます。

その際、次の表に載っているようなコントロールキーによる操作も、それなりに使えます。

コントロール・キャラクタによる機能、CTRL+C他

まあ、Ctrl-Pは、いきなり印刷されても困るので使えなかったり、Ctrl-XやCtrl-Uも使えません。

実際使うとしたら、Ctrl-Cによる「中止」ぐらいですね。

Windows上でCtrl-Cといえば「コピー」で、コマンドプロンプト上とはまったく別の機能が割り当てられています。

これは、Ctrl-Cによる中止がコマンド中心のUNIX由来の機能であるのに対し、Ctrl-CによるコピーがウィンドウシステムであるMacintoshのCommand-C由来の機能であるためです。背景にある文化の違い、と言えます。

バッチファイル

この本ではバッチファイルについても取り上げられていますが、バッチファイルは、作業を自動化したい場合など、今でも時々使います。

取り上げられているのは基本だけで、環境変数や条件分岐の類は出てきません。そういうのは、続編の実用MS-DOSで出てきます。

WindowsNTの子孫である現在のWindowsでは、コマンド・スクリプトと呼んで拡張子をcmdにすることもありますが、拡張子がbatでもcmdでも、中身は同じです。

さりげなく機能は進化しているので、昔のMS-DOSよりも複雑な構文が使えるようになってたりしますけどね。

パイプ

パイプという機能があります。

DIR | FIND "SYS" | SORT

コマンドの出力結果を次のコマンドに入力して渡すことで、コマンドの組み合わせでいろんなデータ処理ができる、というUNIX由来の機能です。

上の例だと、ファイルとディレクトリの一覧を表示し、そこから一部のデータを抜き出し、名前で並べ替える、という操作を一行のコマンドで行っています。

何でもテキストファイルで保存するUNIXで重宝される機能ですが、今同等のことを実現するなら、ExcelとVBAとかが応用利いていいかな~、と思います。

おわりに

ほんの数十~数百KBに収まるシステムというのも、それはそれでなかなか乙なものだと思います。

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